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足首の捻挫で病院に行くべき?歩行時の痛みと腫れで見る受診目安

2026年8月9日
足首の捻挫で病院に行くべき?歩行時の痛みと腫れで見る受診目安

足首をひねった翌朝、腫れが引かないときの考え方


子どもと遊んでいて足首をひねり、湿布を貼って一晩。それでも朝に腫れと痛みが残っていると、仕事や送迎をどうするか迷いますよね。判断の手がかりは、痛みの強さ・歩けるかどうか・時間経過での変化の3点です。見極め方と整形外科で行う検査を整理します。


この記事の要点まとめ


  • 体重をかけた際の痛み、腫れの経過、くるぶしの圧痛から受診目安を確認できます
  • 歩けても骨折や靭帯損傷が隠れている場合があり、画像検査での確認が参考になります
  • 整形外科では検査に応じた固定やリハビリを行い、費用の目安も把握しやすくなります

足首の捻挫で受診を判断する3つのポイント


ひと口に捻挫といっても、靭帯が軽く伸びた状態から部分断裂、完全断裂まで幅があります。一般には1度・2度・3度と重症度を分けますが、見た目だけで線引きするのは簡単ではありません1。まずはご自宅で確かめられる3つの視点を持っておきましょう。


体重をかけたときの痛みと歩行困難の有無


もっとも分かりやすいのは、痛めた側の足に体重をかけられるかどうか。受傷直後と受診時のどちらかで、かばいながらでも4歩続けて歩くのが難しいなら、骨折の可能性も含めた確認をおすすめします。反対に歩けていても、一歩ごとに顔をしかめるほど痛むなら軽症とは限りません。「歩けるか」ではなく「痛みなくスムーズに歩けるか」で見るのがポイントです。


翌朝になっても引かない腫れと内出血(皮下出血)


受傷直後の腫れは誰にでも起こります。注目したいのは、そこからの変化です。翌朝に腫れが増している、靴が入らないほど太くなっている——こうした場合は内部で出血が続いている状態も考えられます。くるぶしの下や足の甲、かかと側に青紫色の皮下出血が広がっているときは、靭帯の断裂や小さな骨折を伴うこともあり、自己判断での経過観察は控えたいところです。


くるぶしの骨を押したときの強い痛み(局所圧痛)


靭帯の損傷では、外くるぶしの前下方あたりに痛みが出やすいとされます。一方、外くるぶし・内くるぶしの「骨そのもの」を押して鋭い痛みが走るなら、骨折を念頭に置いた画像検査を検討します。これは救急の現場で用いられる足関節の評価の考え方に基づくもので、骨の後ろ側の縁を上に6cmほどなぞる範囲が一つの目安。ご自身で強く押しすぎず、痛みを感じたらそこで止めてください。


「歩けるから大丈夫」は本当?放置するリスクと整骨院との違い

「歩けるから大丈夫」は本当?放置するリスクと整骨院との違い

痛みが和らぐと、つい元の生活に戻してしまうもの。ただ足首は体重を支える関節で、初期の対応がその後の経過に関わってくる部位でもあります。


捻挫の放置で懸念される慢性足関節不安定症(繰り返す挫傷)


伸びたり切れたりした靭帯が十分に修復されないまま活動を再開すると、足首のぐらつきが残ることがあります。これが慢性足関節不安定症と呼ばれる状態で、段差や砂利道といったわずかな不整地でも足首をひねりやすくなる要因として知られています。ひねるたびに軟骨への負担も積み重なるため、初回の対応を丁寧にしておく意味は小さくありません。


「歩ける=骨折していない」という誤解と剥離骨折の可能性


骨折したら歩けないはず——このイメージは根強いものです。ところが靭帯が骨を引きはがすように起こる剥離骨折では、骨のずれが小さく、歩けてしまうこともあります。とくに足の外側にある第5中足骨の付け根は、足首をひねった際に痛めやすい場所。歩けたかどうかだけで骨折の有無を見分けるのは難しい、と覚えておいてください。


整形外科と整骨院・接骨院の役割の違い(医師による診断と画像検査)


両者は根拠となる法律も業務範囲も異なります。レントゲンなどの画像検査を行い、医師が診断を行えるのは医療機関である整形外科です。柔道整復師が施術を担う整骨院・接骨院では、画像検査や投薬は行えず、骨折や脱臼の疑いがある場合には医師の同意が必要とされています1まず整形外科で状態を確かめ、そのうえで今後の方針を相談する。この流れが結果的に段取りを立てやすい進め方と考えられます。


整形外科で行う検査内容・治療と受診費用の目安


「受診しても湿布を出されて終わりでは」と感じる方もいます。実際には、状態を把握するための検査と、そこから組み立てた方針の説明が中心になります。


レントゲン・超音波(エコー)・1.5テスラMRIによる精密な状態把握


レントゲンは骨折の有無を確かめる基本の検査ですが、靭帯そのものは写りません。そこで用いられるのが超音波(エコー)検査。足首を動かしながら、靭帯の連続性や関節内の出血の様子をその場で観察できます。さらに詳しい評価が必要なときには、MRI検査で靭帯や軟骨の状態を確認します。当院では1.5テスラMRI装置・レントゲン・超音波診断装置を備え、症状に応じた検査を院内で行える体制を整えています。


テーピング・サポーター固定・湿布処方と復帰に向けたリハビリ


初期は炎症を落ち着かせることを優先し、重症度に合わせてテーピング、サポーター、シーネなどの固定具を使い分けます。湿布や内服は炎症や痛みへの対応として処方されることがありますが、固定と併用する意味を理解しておきたいところ。腫れが落ち着いてきたら、足首を動かす範囲を戻す練習、ふくらはぎの筋力、片足立ちなどのバランス訓練へと段階的に進みます。スポーツや立ち仕事への復帰時期は、左右差や不安定感の有無を診察で確かめながら判断します。


受診にかかる初診料・検査費用・処方箋代の目安


捻挫の診療は健康保険の適用対象です。3割負担の場合、初診料と足関節のレントゲン撮影、湿布などの処方を合わせておおよそ2,000〜4,000円程度が一つの目安(撮影枚数や検査内容により変動します)。MRI検査は別途費用がかかるため、必要性とあわせて事前にお尋ねください。療養期間は状態によって幅がありますが、立ち仕事の方は固定具の使用や勤務内容の調整について診察時に相談しておくと、段取りが立てやすくなります。


お子さんの足首捻挫での注意点と応急処置の基本


公園や部活動で足をひねる場面は珍しくありません。大人と同じ感覚で見ていると、判断に迷うことがあります。


お子さんの足首捻挫で注意したい成長線(骨端線)への影響


成長期は靭帯が比較的丈夫な一方、骨の端にある成長軟骨(骨端線)が力学的に弱い部分とされています。そのため、大人なら靭帯を痛める力でも、お子さんでは骨端線側が損傷することがあります。骨端線の損傷はレントゲンで判別しにくい場合もあり、「捻挫だと思っていた」というケースが含まれる点に注意が必要です。痛みが数日続く、腫れが引かない、以前と歩き方が違う。こうした様子があれば、早めに整形外科でご相談ください。


受傷直後に行う適切な応急処置(POLICE処置)と控えるべき行動


従来のRICE処置に代わり、いまはPOLICE処置という考え方が広まっています。Protect(保護)、Optimal Loading(適度な負荷)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字で、完全に動かさないのではなく状態に応じて負荷をかけていく点が特徴です1。冷却はビニール袋に入れた氷で15〜20分ほど、患部は心臓より高く保ちます。逆に、受傷当日の入浴での温めや飲酒、痛む部位を強くもむ行為は腫れが増す要因になり得るため控えましょう。


パート勤務や日常生活・送迎業務への影響を考慮した対応


立ち仕事や送迎は、無理を重ねると痛みが長引く一因になり得ます。休むかどうかを一人で抱え込まず、診察で分かった所見をもとに、固定具を着けて勤務内容を調整する、数日だけ負荷を減らすなど、現実的な選択肢を一緒に考えていけます。「大げさかもしれない」と迷った段階で相談しておくほうが、その後の予定を組み立てやすくなります。


よくある質問


Q1. 捻挫の受診の目安を教えてください。

A. 痛めた側の足に体重をかけて4歩続けて歩くのが難しいとき、くるぶしの骨を押すと鋭く痛むとき、翌朝になっても腫れや皮下出血が広がるとき。いずれも整形外科での確認をおすすめします。迷う場合も、一度診てもらうことで方針が立てやすくなります。


Q2. 歩けるけれど痛い捻挫でも病院に行くべきでしょうか。

A. 歩けることと骨折がないことはイコールではありません。剥離骨折や靭帯の部分断裂でも歩けるケースがあります。痛みや腫れが残っている段階なら、画像検査で状態を確かめておくとよいでしょう。


Q3. 捻挫のレベルはどうやって見分けますか。

A. 一般には、靭帯が伸びた程度を1度、部分断裂を2度、完全断裂を3度と分類します。ただし腫れが強い時期は見た目や痛みだけでの判別が難しく、超音波検査やMRI検査などで靭帯の状態を確かめたうえで評価していきます。


Q4. 軽い捻挫の場合、どのくらい休む必要がありますか。

A. 損傷の程度、年齢、仕事内容によって幅があるため、一律の日数はお示しできません。腫れや圧痛が落ち着き、片足立ちや軽い動作で不安定感がないかを診ながら、段階的に活動量を戻していく流れが基本になります。


Q5. 湿布とテーピングはどちらを使えばよいですか。

A. 役割が異なります。湿布は痛みや炎症への対応、テーピングは関節を支えて不要な動きを抑える目的で用います。急性期は圧迫と固定が中心になるため、巻き方や強さは診察時に確認しておくと扱いやすくなります。


参考文献


1. 日本医師会. 医療・健康に関する一般情報. https://www.med.or.jp/


渡邊 裕規

医師


わたなべ整形外科運動器クリニック

院長

渡邊 裕規

▶ 監修者プロフィール

経歴
1999年 富山大学医学部卒業 富山大学附属病院整形外科 研修医
2000年 富山労災病院 整形外科 医員
2002年 長野県厚生連 長野松代総合病院 整形外科 医員
2003年 愛知医科大学 分子医科学研究所 研究員
2007年 富山大学大学院医学系研究科修了(医学博士) 
2009年 黒部市民病院 整形外科 医員
2010年 富山労災病院 整形外科 副部長
2012年 はちや整形外科病院 医局長、関節スポーツ部門担当および人工関節チーフドクター
2014年 豪シドニー臨床留学 (フェロー6ヵ月間)
2018年 名古屋市名東区にてわたなべ整形外科運動器クリニック開院
2021年 医療法人WOMSC設立
資格・所属学会
【学位・資格】
医学博士
日本整形外科学会認定
整形外科専門医 リウマチ医
日本リハビリテーション医学会
認定臨床医
日本体育協会 スポーツドクター
【所属学会】
日本整形外科学会
日本人工関節学会
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
日本リハビリテーション医学会
日本股関節学会
日本リウマチ学会
東海関節外科研究会 世話人