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練習を休めない子の足の痛み…疲労骨折の見逃しを防ぐ受診目安

2026年7月24日
練習を休めない子の足の痛み…疲労骨折の見逃しを防ぐ受診目安

その足の痛み、様子見でよいか迷っていませんか


選考会を控え、練習を休みたがらないお子さんの足の痛み。腫れがないから平気と思っていても、繰り返す動作で骨に微細な亀裂が入る疲労骨折が隠れていることがあります。本記事では、初期症状の見分け方やレントゲンで捉えにくい理由、受診の目安を整理してお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 腫れがなくても足の痛みが続く場合、疲労骨折が隠れている可能性があります
  • 初期はレントゲンに写りにくく、見逃しを防ぐにはMRI検査が有用とされます
  • 日頃の様子観察と受診時のメモ準備が、早期の状態把握につながります

痛みを我慢して走り続けるお子さんを襲う「疲労骨折」とは?初期症状と特徴

痛みを我慢して走り続けるお子さんを襲う「疲労骨折」とは?初期症状と特徴

激しいスポーツに打ち込むお子さんの足の痛みは、一時的な筋肉痛とは限りません。ここでは、疲労骨折がどのように起こり、他の障害とどう見分けるのかを整理します。


骨に微小な亀裂が入る「疲労骨折」のメカニズムと原因


疲労骨折は、転倒などの一度の強い衝撃で起こる骨折とは仕組みが異なります。走る・跳ぶといった動作を繰り返すことで、同じ部位に少しずつ負荷が積み重なり、骨に微細な亀裂が生じる状態です1練習量の急な増加、硬い路面でのトレーニング、足に合わないシューズなどが、負担を高める要因として挙げられます。骨が自己修復する速度を上回るペースで負荷がかかり続けると、いわゆる「なりかけ」から進行していくと考えられています。成長期のお子さんは骨や筋肉の状態が変化しやすく、こうした負荷の影響を受けやすい時期でもあります。


ただの筋肉痛やシンスプリント、成長痛との具体的な見分け方


見分けの手がかりのひとつが、痛みの「出方」です。疲労骨折では、特定の一点を指で押すと強い痛みが走る局所的な圧痛がみられることがあります。運動を始めると痛み、休むと和らぎ、再び動くとぶり返す、という経過も特徴のひとつ。一方、シンスプリントはすねの内側に沿って広い範囲で痛むことが多く、筋肉痛は全体的にだるく張る感覚が中心です。成長痛は夜間に出やすく、翌朝には落ち着く傾向があります。とはいえこれらは重なり合うこともあり、自己判断だけで区別するのは難しいもの。痛みが続くようなら、整形外科での確認をおすすめします1


中足骨や脛骨など、足に起こりやすい疲労骨折の部位と痛みの出方


サッカーや陸上競技などでは、足の甲にあたる中足骨や、すねの脛骨に疲労骨折が起こりやすいとされています1。中足骨の場合、走ったり踏み込んだりする際に足の甲の一部がじんわり痛み、初期は腫れがはっきりしないことも少なくありません。脛骨ではすねに沿った鈍い痛みから始まり、運動を重ねるうちにピンポイントの痛みへ変わっていく経過がみられることがあります。腫れがないからと様子を見続けるうちに、歩行時にも痛むようになるケースもあるため、違和感が長引く段階での相談が大切です。


なぜ初期段階で「見逃し」が起こるのか?レントゲン検査の限界とリスク


「レントゲンで異常なし」と言われても、痛みが続くことがあります。ここでは、初期の疲労骨折が捉えにくい理由と、そのまま運動を続けた場合に想定される経過を解説します。


発症から2〜3週間は「レントゲンに写らない」という落とし穴


レントゲンは骨の形の変化を映し出す検査ですが、疲労骨折の初期は亀裂が非常に微細なため、画像上に骨折線としてはっきり現れないことがあります1。骨が修復を始める過程でつくられる「仮骨(かこつ)」が写るようになるまでには、発症からおおむね2〜3週間ほどかかるとされ、この期間はレントゲンだけでは判断が難しい場合があります。痛みがあるのに初回の検査で異常が指摘されず、経過観察となるのはこのためです。「写らなかった=問題ない」とは限らない点に注意が必要です。


見逃したまま練習を継続した場合に想定される経過:完全骨折や難治性の偽関節化


「なりかけ」の段階で痛みを我慢して運動を続けると、微細な亀裂が広がり、骨が完全に折れてしまうことがあります。さらに、骨のつながりがうまく進まない偽関節(ぎかんせつ)と呼ばれる難治性の状態に移行する場合もあり、治療が長引く要因になり得ます1大会を優先したつもりが、かえって長期の離脱につながる可能性があるため、早めに状態を把握することが将来の競技生活を守るうえで重要です。無理を重ねる前に、専門的な評価を受けることを慎重に検討しましょう。


初期の微細な変化を捉える「1.5テスラMRI検査」が有用な理由


レントゲンに写りにくいごく初期の段階でも、MRI検査では骨の内部に起こる骨髄浮腫(骨の中の腫れ)といった変化を捉えられることがあります1。当院では1.5テスラMRI装置を備えており、レントゲンでは判断が難しい時期の状態確認に活用しています。何度も通院を重ねて経過を追うのではなく、痛みが続く段階で速やかに詳しい検査を行うことで、見逃しの防止につなげやすくなります。検査の要否は、症状や経過をふまえて医師が判断します。


見逃しを防ぎ速やかに復帰へつなげるための適切な受診目安と対策


お子さんの大切な競技生活を守るために、親御さんが日常で気づけるポイントと、受診時に役立つ準備を整理します。


「練習を休みたくない」お子さんのサインを見逃さない親の観察ポイント


本人が痛みを控えめに伝えようとしても、日常の何気ない仕草にヒントが隠れていることがあります。歩き方が微妙にぎこちない、階段を降りるときにかばう、お風呂上がりに特定の部位をよく触ったり冷やしたりするといった様子は、痛みのサインかもしれません。練習後だけ足を気にする、片足に体重をかけたがらないなども観察ポイントです。「大会があるから」と本人が我慢しがちな時期こそ、周囲がそっと変化に目を向けることが、早期発見の第一歩になります。気になる仕草が続くようなら、一度声をかけてみましょう。


一般の整形外科ではなく「スポーツ整形外科」の受診をおすすめする理由


疲労骨折への対応は、単に安静を指示するだけでなく、大会スケジュールや復帰目標をふまえた運動器の専門的なアプローチが求められる場面があります。スポーツ整形外科では、競技特性や練習内容を考慮したうえで、検査や保存的治療、リハビリテーションの提案を行いやすい体制が整っています1。当院では運動器の診療に力を入れており、お子さんが再びグラウンドへ戻ることを見据えたサポートを心がけています。設備面でも1.5テスラMRIやレントゲン、超音波診断装置などを備え、状態の把握に活用しています。


医師の診断をサポートする!スマートな伝え方とメモの準備


診察をスムーズにし、見逃しを防ぐには、受診前の情報整理が役立ちます。「いつから痛むのか」「どんな練習メニューのときに痛むのか」「痛みは運動中か、休むと引くのか」をメモにまとめておくと、医師が経過を把握しやすくなります。痛む場所を一点で指し示せるようにしておくことも、診断の手がかりになります。パートや下のお子さんの世話で忙しいなかでも、こうした準備があれば、限られた通院時間を有効に使えます。お子さん本人にも、我慢せず正直に伝えるよう、事前に声をかけておくとよいでしょう。


よくある質問


Q. 疲労骨折の初期症状にはどのようなものがありますか?


A. 運動時に特定の部位が痛む、指で押すと一点に強い痛みが走る(局所的な圧痛)、休むと和らぎ動くとぶり返す、といった経過がみられることがあります。初期は腫れがはっきりしないこともあるため、腫れの有無だけで判断せず、痛みが続く場合は整形外科での確認をおすすめします。


Q. 疲労骨折は初期なら短期間で回復しますか?


A. 回復までの期間は部位や状態、年齢などによって個人差が大きく、一概には言えません。早い段階で状態を把握し、適切に負荷を調整することが経過に関わると考えられています。自己判断で運動を続けず、医師の評価を受けることが大切です。


Q. 疲労骨折の前触れとして気をつけるサインはありますか?


A. 練習後だけ足を気にする、特定の部位の違和感が数日以上続く、歩き方がぎこちなくなる、といった変化が手がかりになることがあります。こうしたサインが続く場合は、無理を重ねる前に相談を検討しましょう。


Q. 初期の段階でMRI検査からどのようなことがわかりますか?


A. レントゲンに写りにくいごく初期でも、MRIでは骨の内部に生じる骨髄浮腫(骨の中の腫れ)といった変化を捉えられることがあります。検査の要否は、症状や経過をふまえて医師が判断します。


参考文献


1. 公益社団法人 日本整形外科学会. 骨・関節・脊椎・スポーツ外傷の診療に関する学術情報. https://www.joa.or.jp/


渡邊 裕規

医師


わたなべ整形外科運動器クリニック

院長

渡邊 裕規

▶ 監修者プロフィール

経歴
1999年 富山大学医学部卒業 富山大学附属病院整形外科 研修医
2000年 富山労災病院 整形外科 医員
2002年 長野県厚生連 長野松代総合病院 整形外科 医員
2003年 愛知医科大学 分子医科学研究所 研究員
2007年 富山大学大学院医学系研究科修了(医学博士) 
2009年 黒部市民病院 整形外科 医員
2010年 富山労災病院 整形外科 副部長
2012年 はちや整形外科病院 医局長、関節スポーツ部門担当および人工関節チーフドクター
2014年 豪シドニー臨床留学 (フェロー6ヵ月間)
2018年 名古屋市名東区にてわたなべ整形外科運動器クリニック開院
2021年 医療法人WOMSC設立
資格・所属学会
【学位・資格】
医学博士
日本整形外科学会認定
整形外科専門医 リウマチ医
日本リハビリテーション医学会
認定臨床医
日本体育協会 スポーツドクター
【所属学会】
日本整形外科学会
日本人工関節学会
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
日本リハビリテーション医学会
日本股関節学会
日本リウマチ学会
東海関節外科研究会 世話人