
目次
指先のしびれに「握りにくさ」が加わったら
湯飲みを持つ手に力が入りにくい。階段で足を踏み外しかけた。指先のしびれだけなら疲れのせいと思えても、動作に影響が出てくると不安になります。この記事では、119への連絡を検討するサイン、仕事中の過ごし方、整形外科などへの受診の目安を、症状の出方に沿って整理しました。急に片側に症状が出たときは、救急への相談を優先してください。
この記事の要点まとめ
- 突然の片側のしびれ・脱力、顔のゆがみ、ろれつの変化、排尿・排便の異変がある場合は、症状が治まっても救急へ相談する。
- 仕事中に物を落とす、つまずくなど動作に影響があれば作業を中断し、症状の範囲や変化を確認して受診を検討する。
- 首・腰の痛みや指のしびれは整形外科、手足全体に広がる場合は内科や脳神経内科も相談先となり、発症時刻や左右差を伝える。
手足のしびれと脱力で119を考えるのはどんなとき?

しびれの原因は、脳・脊髄・末梢神経のどこで起きているかによって考え方が変わります。なかでも急に現れた症状は、時間をおかずに対応したいサインです1。
突然の片側のしびれ、顔のゆがみ、ろれつの変化
片側の手足に急に力が入らない。口元が片方だけ下がる。ろれつが回らない、言葉が出にくい。こうした症状が突然現れたときは、脳の血流に関わる病気も考えられるため、119への連絡を検討する状況です1。
症状が数分で消えることもありますが、それで心配がなくなったとは言い切れません。仕事には戻らず、症状が始まった時刻を確かめてから救急に相談しましょう。ご自身で車を運転して受診するのは控えてください。
急に歩けない、脱力が進む、排尿・排便に異常がある
症状が片側だけとは限りません。両脚に出ていても、急に歩けなくなった場合や、数時間〜数日のうちに力の入りにくさがはっきり進んでいる場合は、緊急性を考えます。
尿が出にくい、漏れる、便意がわかりにくいといった変化にも目を向けてください。新たな排尿・排便の異常を伴う脱力には、脊髄や腰の神経の束が強く圧迫されている状態などが関わることがあり、速やかな救急受診が必要になる場合があります2。夜間や休日であっても、翌日の外来まで待たずに相談してください1。
仕事中に力が入りにくいとき、受診までどう過ごす?
救急要請に当てはまる症状がなくても、動作に支障が出ているなら「疲れや姿勢のせい」と決めつけないでください。経過を一度見直してみましょう。
物を落とす・足元が不安定なら作業を中断して相談
手では、入力ミスが増える、ボタンが留めにくい、湯飲みやペンを落とすといった変化が出ます。足では、スリッパが脱げやすくなったり、段差でつまずいたりします。こうした変化は、神経の働きが動作に影響し始めている手がかりになります2。
気づいたら作業をいったん止め、しびれの範囲と力の入り方を左右で比べてみてください。ご家族の通院に付き添う予定があり、階段や人混みを歩く場面がある場合は、足元が不安定なうちは別の人に代わってもらうなど、予定の調整も考えておきたいところです。力の入りにくさが数日続く、または範囲が広がるようなら、早めに医療機関へ相談しましょう。
しびれが引いても、突然の脱力があったなら放置しない
「治まったから様子を見てよいか」は、症状の出方によって判断が分かれます。
突然片側に力が入らなくなり、数分〜数十分で元に戻った場合は、一時的な脳の血流障害の可能性もあります。症状が消えていても、速やかに救急へ相談してください1。
数週間続いていたしびれが軽くなった場合でも、その間に物を落とすなどの脱力があったなら、外来での受診を早めに検討しましょう。
手足のしびれと脱力は何科に相談する?症状の広がりで考える
急な症状がないときは、しびれる部位と、一緒に出ている症状から相談先を考えます。ただし、症状だけで原因を決めることはできません。
首・腰の痛みと手足の症状が重なる場合は整形外科へ
首のこりや痛みとともに腕へ走るしびれがある場合や、腰痛と一緒に脚に沿ってしびれる場合は、頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、腰の神経の圧迫などを整形外科で確認できます2。長時間の座り仕事で姿勢が固まると、症状を自覚しやすくなることもあります。
手足の両方に症状がある場合は、首の脊髄が関係しているのか、別の原因によるものなのかを、診察を通して見分けていきます。
指先のしびれと握りにくさは、手の神経も確認
しびれる指の位置は、原因を考える手がかりになります。親指から薬指の親指側にかけてしびれる場合は手根管症候群、小指側なら肘部管症候群が考えられる例です2。
ただし手根管症候群は、症状と検査を組み合わせて判断されます。研究で用いられる診断基準にもばらつきがあることが報告されています3。指の場所だけで病名を決めず、つまむ・握る動作の変化もあわせて相談しましょう。
手と足の両方に広がるなら、脳神経内科なども相談先に
左右の手足や、手袋・靴下で覆われる範囲のように広くしびれる場合は、糖尿病など全身の病気が関わっていることもあります。そのため、内科や脳神経内科での確認が必要になることがあります1。整形外科で診察を受けた後に、ほかの診療科を紹介されるケースもあります。
なお、症状が急に出た場合は、外来選びよりも救急への相談を優先してください。
受診時に何を伝える?診察と検査の進み方
限られた診察時間で状況を正確に伝えるには、事前にメモを用意しておくと役立ちます。
始まった時刻・左右差・悪化の有無を控える
- 症状が始まった日時(急な症状の場合は、最後に普段どおり動けた時刻)
- しびれる部位と左右差
- 物を落とす、つまずくなどの変化と、悪化しているかどうか
- 服用中の薬や持病
急な症状のときは、メモよりも119への連絡を先にしてください1。
診察で調べることと、検査を選ぶ目安
診察では、筋力や感覚、反射、歩き方などを確認します。そのうえで、必要に応じてレントゲン、MRI、超音波検査などの画像検査、血液検査、神経の伝わり方を調べる検査が検討されます23。
検査は症状と診察結果に応じて選ばれるもので、最初からすべてを一律に行うわけではありません。院内で行えない検査については、ほかの医療機関と連携して進めることもあります。
愛知県・名東区で相談先を探す前に確認したいこと
仕事やご家族の通院付き添いと両立するには、受診できる曜日・時間帯と、無理のない移動手段を先に決めておくと動きやすくなります。
救急症状がなく、首・腰の痛みや手の使いにくさが気になる場合は、整形外科などの医療機関に相談するのも一つの方法です。当院では非常勤医師の勤務予定を公式サイトのお知らせで案内しているので、確認しておくと予定を立てやすくなります。足元が不安定なときは、ご家族の送迎やタクシーの利用も検討してください。
よくある質問
Q. しびれが朝には治まっていました。受診しなくてもよいですか?
A. 突然の片側の脱力やろれつの変化があった場合は、症状が治まっていても救急への相談を検討してください。徐々に続いていたしびれでも、物を落とすなどの変化があったなら、外来での受診を考えましょう。
Q. 追突事故のあとから手がしびれます。何科に行けばよいですか?
A. 首への衝撃に伴うしびれは、整形外科で相談できます。事故の直後は痛みが目立たなくても、数日たってから症状が出ることがあります。早めに受診し、症状が出た時期を記録しておきましょう。保険の手続きで診断書が必要になる場合もあります。
Q. 整形外科で検査を受けると、費用はどれくらいかかりますか?
A. 保険診療で3割負担の場合も、初診とレントゲンのみの場合とMRIを含める場合とでは、費用に幅があります。一般的な相場には幅があり、当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や検査内容によって異なります。当院の費用は診察のうえでご案内します。
Q. 手足口病でも手足に症状が出ますか?
A. 手足口病は、主に手のひら・足の裏・口の中に発疹が出る感染症で、神経によるしびれや脱力とは症状の出方が異なります。発疹や発熱を伴う場合は、内科や皮膚科への相談を検討してください。
参考文献
1. 公益財団法人 日本医療機能評価機構. Minds ガイドラインライブラリ. https://minds.jcqhc.or.jp/
2. 公益社団法人 日本整形外科学会. https://www.joa.or.jp/
3. Sousa RL, Moraes VY, Zobiole AF, et al. Diagnostic criteria and outcome measures in randomized clinical trials on carpal tunnel syndrome: a systematic review. Sao Paulo Medical Journal. 2023. PMID: 37075455 / DOI: 10.1590/1516-3180.2022.0086.07022023
2000年 富山労災病院 整形外科 医員
2002年 長野県厚生連 長野松代総合病院 整形外科 医員
2003年 愛知医科大学 分子医科学研究所 研究員
2007年 富山大学大学院医学系研究科修了(医学博士)
2009年 黒部市民病院 整形外科 医員
2010年 富山労災病院 整形外科 副部長
2012年 はちや整形外科病院 医局長、関節スポーツ部門担当および人工関節チーフドクター
2014年 豪シドニー臨床留学 (フェロー6ヵ月間)
2018年 名古屋市名東区にてわたなべ整形外科運動器クリニック開院
2021年 医療法人WOMSC設立
医学博士
日本整形外科学会認定
整形外科専門医 リウマチ医
日本リハビリテーション医学会
認定臨床医
日本体育協会 スポーツドクター
【所属学会】
日本整形外科学会
日本人工関節学会
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
日本リハビリテーション医学会
日本股関節学会
日本リウマチ学会
東海関節外科研究会 世話人
あわせて読みたい関連記事


